3月19日に開催されたF1サウジアラビアGPはRedBullRacingのセルジオ・ペレスがポールトゥウィンを飾った。

スタートでこそペレスはフロントロウに並んだアストンマーチンのフェルナンド・アロンソに先行を許すも、DRSが使用できる3周目まで無理に追い抜きをせず、アロンソの後方で様子を伺う。

そしてDRSを使用し4周目の1コーナーでアロンソのインを突き首位を奪還。その後は後方の様子を伺いながらマシンとタイヤのマネジメントに努めた。

このレースにおいてペレスが警戒する相手は2位のアロンソ、3位のフェラーリ・サインツ、4位ストロール、次いでメルセデスの2台。ペレスはアロンソをDRS圏外に追いやり、アンダーカットを防ぐため数週プッシュを重ね引き離すことに成功。以降のマシンはSC導入のタイミングに注意を図るだけであった。

トップ集団の中で最初にピットインしたのはアストンマーチンのストロール。14周目ストロールは後ろを走るサインツに対してアンダーカットを警戒しピットイン。これに対しサインツはストローつと逆の作戦をとりピットには入らず2周ピットインを遅らせストロールの前で復帰。

ハードタイヤの温まりが良くないストロール。タイヤへの入力が少ないサウジアラビアの路面ではアンダーカットは有効な策として考えづらく、我慢合戦が始まるかに見えた。

一方、予選2位でパワーユニット交換による10グリッドダウンのペナルティを受けたルクレールは12番手スタート。ソフトタイヤでスタートし、サインツの後ろまで順位を上げていた。

また、予選ドライブシャフトのトラブルでQ2敗退となったフェルスタッペンは15番手スタート。ミディアムタイヤでルクレールと同様にオーバーテイクを毎周繰り返しながら順位を上げていった。

ピットを終えたサインツの後ろはソフトタイヤで走り続けるチームメイトのルクレール。フェラーリはルクレールのタイヤの崖を迎えるタイミングでピットへ呼び込んだ。

直後の17周目の終わり、ストロールがパワーユニットトラブルによりコース脇にマシンを停める。その瞬間、全チームがVSCを予測しマシンをピットへ呼び込む。ここでスチュワードはSCを導入しピットラッシュが始まる。

事前にピットを終えていたフェラーリの2台、アルピーヌの2台、ハースの2台、マクラーレンの2台、アルファロメオの趙。彼らはステイアウトし順位を落とすはめに。メルセデスの2台はフェラーリの前に復帰し、角田裕毅は8位にまで順位を上げ最も効率よく順位を上げる形になった。

SCが導入されペレスのアドバンテージは帳消しになったものの、1周あたり1秒後続との差を築き勝利を盤石なものへと導いていく。アロンソも2位表彰台を目指し安定した走行を続けるが、別次元のペースで追い上げるフェルスタッペンに25周目でオーバーテイクされてしまう。しかし2戦連続で表彰台を獲得し2番目に速いチームとなった。

以下、ラッセル・ハミルトン・サインツ・ルクレール・ガスリー・オコン・ガスリーまでが入賞。アルファタウリの角田は11位と入賞まであと一歩であったが、マシンの戦闘力以上の結果をもたらした。

終盤アロンソはピットインでのペナルティ消化に関して作業違反があり、10秒ペナルティが更に加算され表彰台を一夜だけ奪われる件が発生したが、ピットクルーの作業に当たらないと判断され、ペナルティは無効となった。

スタート位置のペナルティ、SC導入の基準、ペナルティ裁定の基準などレースコントロールやレース審議委員会の不安定さに不信感と疑念が残るグランプリとなった。

終盤ファステストラップをめぐりレッドブルの2台がラップタイムの更新合戦が始まり、チームの雰囲気がピリつく瞬間が生まれた。無線でマシンを労わるように両ドライバーを説得するがそれに応じなかった。今後は二人の関係性にも注目をしたいところだ。

結果、最終ラップにファステストラップを叩き出したフェルスタッペンがエクストラの1ポイントを獲得。その1ポイントでチャンピオンシップのランキング首位を守った。

第3戦は南半球に渡りオーストラリア・メルボルンへ。アルバートパークを舞台にストリートサーキットでのバトルが続く。