2023年F1オーストラリアGPは3度の赤旗中段という、近年最も荒れたグランプリとなった。

レッドブルのマックス・フェルスタッペンはスタートの度に順位を落とすことはあっても、後続の巻き添えを得ずに切り抜け、落ち着いたところで順位を奪い返す非常にクレバーなレースを展開した。

決勝のスタートでは3コーナーでアストンマーチンのストロールと接触したフェラーリのルクレールがスピン。グラベルから出られずリタイヤとなった。サインツもレース後半のペナルティを課せられノーポイントで終える。ルクレールのマシン撤去のためSCが導入され、後方のチームは寿命が長いとされるハードタイヤに履き替えるギャンブルに出る。

予選2-3位のメルセデスが良いダッシュを決め、ラッセル・ハミルトンの順でレースをリード。3位フェルスタッペン、それに続くのはフェラーリのサインツが4位。好調アロンソは予選4位から一つ順位を落とし5位に下がる。そして3周目の終わりにSCが解除され4周目レースが再開された。

DRSが使えるようになった5周目からは首位のラッセルをチームメイトのハミルトンとレッドブルのフェルスタッペンが追い上げ始める。ラッセルは無線で「後ろからの追い上げられててペースのマネジメントをしろと言われても」と嘆く。

大きな波乱の一つ目が起こる。7周目のターン6.7で6位を走るアルボンがリアを滑らせグラベルを突っ切り壁に激突。コース上にグラベルの砂利を大量に巻きながらマシンを停めた。

このことで再度SCが導入される。ここで戦略が分かれ始める。1度目のSC時にタイヤを交換しなかったマシンがタイヤ義務交換を果たすために何台かがピットに入っていく。

ラッセル、サインツがピットに入りステイアウトしたハミルトンがトップ。以下フェルスタッペン、アロンソ、アウトロール、ガスリー、ヒュルケンベルグ、までがノーピット。ラッセルがピットを終えた中で最上位の7位。8-12位アルファタウリの角田とデブリース、9-10位マクラーレンのノリスとピアストリもピットインはせずミディアムで引っ張る作戦をとった。

ピットイン組が得をしたように見えたが8周目の終わり、レーススチュワードは赤旗レース中断を指示した。これでピットインしたマシンが損をこうむることとなり、ステイアウトしたマシンはハードタイヤに何のロスもなく交換ができ、ステイアウト組に光が差した。

しばしの中断のあと全車ハードタイヤで再スタートし、18周目エンジントラブルでラッセルがリタイヤ。高い信頼性を誇っていたメルセデスエンジンに珍しくトラブルが起きた。その後はトラブルもなくレースは終えようとしていた。しかしメルボルンのマモノはまたも牙をむいた。

53周目12位を走るマグヌッセンが2コーナー外側のバリアにヒット。ホイールが割れタイヤが外れ3コーナーの先でマシンを停める。外れたタイヤが3コーナー手前のマーシャルポスト付近にあり、回収のために3度目のSCが導入。そして55周目に3度目の赤旗が掲示される。

この間にほとんどのマシンが残り2周のためにソフトタイヤへと履き替える。

3度目のスタンディングスタートでも大混乱が起きてしまう。

1コーナーのブレーキングを誤った4位サインツが3位アロンソのリアを突きスピンさせてしまう。後続は渋滞と混乱により急ブレーキやコースオフを避けられず、コースに戻ったガスリーはチームメイトのオコンとクラッシュリタイヤ。最後方サージェントは前を走るデフリースに追突。3コーナーではブレーキングミスしたストロールはコースオフしてしまう。

そしてまた赤旗が掲示され最後のスタートは全車ソフトタイヤ。グリッド順はリタイヤしたマシンを除く順序となった。

最後のスタートはタイヤの温まりが不十分なことと周回数がないことから、ローリングスタートとなり追い越しが出来ないままチェッカーを受け歯切れの悪いレースの終わり方となった。

チェッカーを受け確定した決勝順位は、フェルスタッペン、ハミルトン、アロンソ、ストロール、ペレス、ノリス、ヒュルケンベルグ、ピアストリ、チョー、角田、サインツ、ボッタスだった。

このグランプリでもレース進行や運営に疑念が残るグランプリであった。

次戦はキャンセルされた中国グランプリのおかげで期間は開き、4月28日アゼルバイジャンで開幕される。